博士後期課程3回生の増田和俊さん(瀬戸口浩彰・阪口翔太研究室)が日本植物分類学会第24回大会にて口頭発表賞を受賞しました
大学院生
研究
増田和俊さん(博士後期課程3回生 地球・生命環境講座 瀬戸口浩彰・阪口翔太研究室)が、日本植物分類学会第24回大会にて口頭発表賞を受賞しました。増田さんの講演題目と研究概要は以下の通りです。 講演題目: 小笠原諸島に固有なムラサキシキブ属3種の起源と過去の集団動態 研究概要: 誕生してから一度も陸続きになったことが無い島(海洋島)に生育する植物は、「島症候群」と呼ばれる生物学的特徴を共通して持つことから、生物進化の過程や普遍性を研究する上で注目されてきました。日本の海洋島である小笠原諸島に生育するシソ科ムラサキシキブ属3種はすべて島嶼固有種であり、生態的適応による種分化や雌雄異株化といった「島症候群」にあてはまる特徴を有しています。従って、これら固有3種は海洋島で起こった種分化や表現型進化の要因を調べるのに適した分類群だと考えられます。しかしこれら3種はその系統的位置付けや、移入後の集団サイズ変化といった、種分化や表現型進化を研究するために重要な進化的背景が明らかになっていませんでした。そこで本研究では、これらを明らかにするため、全ゲノムデータを用いた分子系統解析および過去の有効集団サイズ変動の復元を行いました。その結果、小笠原諸島固有3種は単系統群であり、日本在来種を含む東アジアの種と近縁であることが分かりました。さらに固有3種の祖先種がこれらの近縁種と分岐し、島嶼に移入からおよそ270万年経っていることが推測されました。さらにこの祖先種は移入後に狭小な面積の島に隔離され続けた結果、有効集団サイズが長期にわたって減少した可能性が考えられました。 |
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