
人間・環境学研究科 研究科長
総合人間学部 学部長
浅野耕太
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吉田山麓、五山の送り火で知られる東山如意ヶ嶽の大文字を望む吉田南構内に大学院人間・環境学研究科と総合人間学部は所在します。ふるきを辿れば、明治 2 年に大阪に置かれた舎密局(せいみきょく)、洋学校そして自由の校風で知られる旧制第三高等学校へとつながるのが京都大学の教養部です。その教員組織を母体に、1991年に学部を持たない独立した大学院人間・環境学研究科が、翌1992年に京都大学の第10番目の学部として総合人間学部が設置されました。爾来、大学院人間・環境学研究科と総合人間学部は緊密な連携をとり、先端的な学術研究、学部・大学院の高度な教育、多彩な地域貢献を行ってきました。やがて両部局は2003年に一体化され、人間・環境学研究科は総合人間学部に基礎を置く大学院となり、総合人間学部の殆んどの教員は大学院人間・環境学研究科の教員として学部と大学院双方の教育に力を注ぐことになりました。またこの教員組織は、人文、社会、自然科学の広範な専門分野において、京都大学の全学生に向け教養教育・基礎教育の授業も担当しています。これは旧教養部を大学院人間・環境学研究科と総合人間学部が引き継いだことによるものです。
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大学院人間・環境学研究科と総合人間学部が創られたのは、学問が専門分野ごとに細分化され、深化してゆく一方で、社会の急激な変化に伴って、新たに生まれた、あるいは深刻さを増しつつある諸課題に果敢に挑戦していくため、専門分野の垣根を越えた交流が必要であるという時代の要請に基づくものでした。学部と大学院の一体化の後も、世界は加速度的に変わり続けているように思われます。とりわけこのところはコロナ禍という未曽有の危機に直面し、後世から見ると歴史の転換点と呼ばれる混迷の時期に遭遇しているのかもしれません。総合人間学部は、予見不能な形で変わり続ける世界を前提に、広い視野を持ち、様々な困難な課題に創造的に対処しうる人物を育成することを目指しています。さらに学問の面白さを知り、その探究をさらに深めたいと思えば、一体となって運営されている人間・環境学研究科という大学院への進学の道も用意されています。
大学院人間・環境学研究科は、専門分野において独創的な研究を遂行しうる能力に加えて、既存の知の体系に安住するのではなく、創造的越境をなしうる知的軽やかさを備えた人物を育成することを目指しています。