フィールドワークを方法論の基軸として、文化・地域環境の生成、展開、保全を研究し、現代社会における文化・地域環境の構築法を探究する

貴州省(中国)の調査地にて(インフォーマントとの食事風景) 長浜市の町家での調査報告会
貴州省(中国)の調査地にて
(インフォーマントとの食事風景)
長浜市の町家での調査報告会
遺跡から出土した資料の分析 明治12年の大阪市街地図(部分)
遺跡から出土した資料の分析 明治12年の大阪市街地図(部分)
  • 民族・文化・地域・空間・景観・建築・文化財の諸相の考察
  • フィールドにもとづいた文化・地域環境の生成、展開、保全の分析
  • 現代社会における文化・地域環境の構築法の探究

 長い歴史的過程のなかで育まれてきた固有の民族・文化・地域・空間・景観の特性や居住の諸相を「文化・地域環境」として捉え、フィールドワークを方法論の基軸として、その生成、展開、保全の諸過程や現状を解明します。そのうえで、現代社会における文化・地域環境の構築法を探究します。文化人類学、建築学・都市計画学、人文地理学、文化財学といったフィールドにもとづいた学問を横断し、文化・地域環境に関する基礎研究と、環境構築に関する実践研究を統合した研究教育を行います。文化や地域環境のあり方をふまえて、都市開発や町づくり、地域活性化、文化遺産・景観の保全と活用、異文化・地域間交流の推進、地域課題の解決に資する研究者・指導者・実務者を育成します。

教員紹介

石井 美保 教授, 岩谷 彩子 教授, 風間 計博 教授, 小島 泰雄 教授, 清野 孝之 教授, 玉田 芳英 教授, 中嶋 節子 教授, 馬場 基 教授, 山村 亜希 教授, 久木元 美琴 准教授, 前田 昌弘 准教授, 山崎 健 准教授, 脇谷 草一郎 准教授, デ・アントーニ アンドレア 特定准教授, 梶丸 岳 助教, 藤原 学 助教
  • 石井 美保 教授

  • 岩谷 彩子 教授

    人の心や社会のなかに「邪悪なもの」はいかにして生まれるのか。「悪」とされる存在のもとにおもむき、目を凝らし、その生成の場に立ちあうことで世界の成り立ちを考える。特に近代以降の「定住主義」によって周縁化されてきた、移動を生活の一部とする人びと(ロマ/「ジプシー」、移動民、露天商)の共同体構築と空間形成の事例を検討することで、領土を前提としない共同体や主体のあり方について探求する。

  • 風間 計博 教授

    フィールドワークによって得た資料を分析し、人間の微細な日常的営みについて、自然や社会経済といった背景に関連付けて考えてきた。太平洋の小さなサンゴ島の村落部における社会生活が、現代のグローバル化した政治経済といかに結び付いているのか。また、故郷の島から強制的に追放された人々が、国家の狭間にあって、いかに自他を峻別し、自己カテゴリーを創出するのか。環境の中にある人間の微視的な認知や記憶と想起、感情にも目配りしながら、現代の社会における共存と排除のあり方を追究していきたい。

  • 小島 泰雄 教授

    中国の農民はどのような空間的ひろがりの中で暮らしてきたのだろうか。農民にとって村落はどのような存在であったのか、市場町は、都市は、さらにもっと広い世界は、どのように農民の暮らしを支えてきたのだろうか。こうした問題を解明するために、地理学的な研究を進めています。具体的には、中国の農村にでかけてフィールド調査を行い、景観を観察し、農民の話を聞き、史資料を読んでいます。

  • 清野 孝之 教授

  • 玉田 芳英 教授

    日本列島に居住してきた人々の精神文化について、考古学的手法を中心として明らかにする。対象とする時代は主として縄文時代で、時期を追いながら概観し、精神文化がどの様に発展、変化していったのかを考察する。また、特殊な遺構や遺物、あるいは集落や墓地の分析を通じ、特定の集団が保有する精神文化や地域間交流について明らかにしていく。さらに大陸の思想を受け入れて成立した奈良時代の精神文化なども比較検討し、現在の精神文化がいかにして育まれてきたのかについての視点を養成することも目指す。

  • 中嶋 節子 教授

    都市の歴史を建築や環境から読み解くことが中心テーマです。日本の近世的都市空間が近代においてどのように変容したのかを,新しく現れた建築,そして,その建築が建つ土地の性格や所有などを手がかりに辿っています。また,都市部の変化と連動する郊外の成立について,郊外住宅地と住宅建築を軸に分析しています。建築とともに山や森,川や湖といった自然環境もまた研究対象です。

  • 馬場 基 教授

    歴史学研究には、素材である「史料」の取り扱い方の習得が欠かせない。史料の取り扱い方は、「史料操作」とも称される。だが史料の取り扱い方は、歴史学研究の単なる「手段」や「ノウハウ」にとどまるものではない。「どのように史料と向き合うのか」。その姿勢は、歴史学研究の姿勢と直結する。
    こうした問題意識から、史料学(特に木簡学)研究に力を注いでいる。文字資料・遺跡・地理情報・美術作品等、歴史情報を内包する「モノ」=資料群から、幅広く歴史情報を引き出し、歴史解明の「史料」とする試みである。発掘調査や、出土文字資料の整理・調査・研究業務に従事しているので、「出土文字資料」をカギに、「歴史の現場」から史料学の深化を目指す研究を進めている。元来の専門は日本古代史だが、中国簡牘・韓国出土木簡と日本木簡の比較研究、データベース開発での資料公開・社会還元など、「史料学」を軸に研究分野を広げつつある。
    史料と、「歴史の現場」を意識しながら向き合う。この「向き合い」を通じて、史料の歴史情報を最大限引き出す実地の訓練や、史料学の体系化に向けた知的冒険を通じ、史料学、ひいてはあらたな歴史像構築をめざして、共に学びながら、指導・教育を行いたい。

  • 山村 亜希 教授

  • 久木元 美琴 准教授

  • 前田 昌弘 准教授

    地域の住まい・まちづくりの現場で生起する様々な課題に生活者や専門家がどのように向き合い課題解決に向かっているのか,フィールドワークを通じて明らかにするとともに,そこで得た知見の制度や空間計画への応用について考察しています。また,研究者・学生が現場と相互に影響を与えながら知見を獲得・共有する営みであるアクションリサーチの方法論についても具体的な現場での実践や隣接分野(文化人類学,社会心理学等)との対話を通じて深めていこうとしています。

  • 山崎 健 准教授

    遺跡から出土する動物遺存体(動物の骨、角、歯、貝殻など)から、「人間が動物をどのように利用してきたのか」という動物資源利用の歴史を明らかにすることを主な研究対象としている。研究は、モノを丁寧に観察して、記録するという考古学の基礎的作業を重視する。そして、動物遺存体を分析するための技術の習得を目指すとともに、出土した動物遺存体の背景にある過去の人間活動を議論していく。教育指導にあたっては、知識を覚えるような受動的教育ではなく、これまでの研究史を踏まえて、自ら考えていく能動的教育を主眼とする。

  • 脇谷 草一郎 准教授

  • デ・アントーニ アンドレア 特定准教授

  • 梶丸 岳 助教

    文化人類学の魅力は、等身大の他者と向き合い、ともに過ごす経験から人間社会への理解を深めるところにあります。大きなトピックについて論じているときにも、その根底にはフィールドで出会い付き合ってきた個々の人間とのやりとりがあります。私が主に扱っているのは掛け合い歌そのものと、掛け合い歌を歌ったり歌の場を支えたりしている人々の社会ですが、基本的にいつも関心の中心にあるのは具体的な人々のやりとりです。やりとりの小さなひとコマに凝縮された文脈を紐解くことで、人々の生きる世界を明らかにしていきたいと考えています。

  • 藤原 学 助教

    建築には、空間の意味を変える技術という一面がありますが、こうした観点から、日本の近代の空間論を研究しています。


人間・環境学研究科パンフレット 総合人間学部パンフレット
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