講師

François Dupuigrenet Desroussilles(フランソワ・デュピュイグルネ・デルシーユ)先生(米国フロリダ州立大学教授、人間・環境学研究科客員教授)

演題

芸術作品とはいかなる種類のモノなのか?ー西洋カトリシズムと日本の仏教における聖遺物と芸術ー

講演内容

1582年の天正遣欧少年使節団について、ヨーロッパで彼らを受け入れたイエズス会員や、東西の芸術交流に及ぼした影響に関する資料を見てみると、驚くべきことに、彼らが訪れた都市では聖遺物を日本に持ち帰ってもらうべきかどうか議論がなされていたことがわかります。何世紀にもわたって信仰生活では仏教遺物が崇拝の対象とされてきた社会で新興の「キリシタン」として育てられた彼らにとって、これらの聖遺物とはどのような意味を持っていたのでしょうか?また、クリスチャン・ボルタンスキーや、2014年にアル・リワーク美術館(カタール)でまさしく”Relics”(聖遺物)と名付けられた個展を開催したダミアン・ハースト、あるいは村上隆のように、現代美術においても、明示されるにせよ黙示されるにせよ、宗教的遺物が参照されることは興味深いことです。現代美術自体が宗教的でないとしても、宗教的な遺物がもらす、あるいはもたらしたのと同じ反応を鑑賞者にひき起させます。これらを通じて、ヨーロッパのカトリシズムと日本の仏教における「遺物」の概念を比較するとともに、この概念が近世、現代ヨーロッパと日本における「芸術作品」の考え方にどのような衝撃を与えたのかをお話し頂きました。(ご講演は英語で行われました)

セミナー/懇親会の様子:

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人間・環境学研究科パンフレット
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