イリジウム触媒を用いる安全で効率的な水素貯蔵システムを開発しました

 近年、水素は低炭素社会実現の観点から理想的なエネルギー源として注目されています。水素は電気エネルギーをはじめとする他のエネルギーに容易に変換でき、その際に二酸化炭素を生み出さず、重量に対して多くのエネルギーを取り出すことができるという特長を持っています。しかし、水素は爆発性があるため、安全かつ効率的に貯蔵するための手法開発が必要とされています。その中でも、水素を有機分子内に結合させて蓄える「有機ハイドライド」を用いた貯蔵方法は超低温や超高圧を必要としないため注目を集めています。

 藤田健一教授(相関環境学専攻 分子・生命環境論講座)の研究グループは、有機ハイドライドを活用する新しい水素貯蔵システムの開発に取り組み、ジメチルピペラジンとジメチルピラジンとの間の相互変換にともなう、水素の効率的な貯蔵と放出がイリジウム触媒を用いれば達成されることを見出しました。

  有機ハイドライドによる安全で効率的な水素貯蔵システムを有効活用すれば、可燃性燃料を安全に扱ってきた実績のある、現行の社会インフラをそのまま利用した水素貯蔵や輸送が可能になります。すなわち、水素社会への移行に際し、新しいインフラをゼロから構築する必要がなくなり、経済性、実現可能性の面で大きな利点を提供できると考えられます。

 なお本研究成果は、藤田教授の研究室に在籍していた和田智勝さん(人間・環境学研究科2017年修士課程修了)、白石巧充さん(総合人間学部卒業、人間・環境学研究科2014年修士課程修了)らの努力と創意工夫が実を結んだものです。

水素貯蔵システムの概要

 本研究成果についてはプレスリリースを行いました。また京都大学のWWWサイトに「研究成果」として次の記事が掲載されております。そちらも合わせてご覧ください。

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