アルコールの脱水素的酸化を効率的に進行させる新規触媒を開発しました

 近年、環境負荷が小さく効率の良い、触媒を活用した有機分子変換法の開拓が求められています。なかでも、触媒を用いた有機分子の脱水素化を基軸とした反応に注目が集まっています。たとえば、アルコールを酸化させてカルボニル化合物へ変換する反応は有機化学における最も基本的かつ重要な反応ですが、これまでは毒性の高い酸化剤を大量に用いて行われてきました。これに対し、酸化剤を用いることなく水素の発生を伴って同様の変換を達成する触媒的な反応が最近注目されています。
 
 藤田健一教授(相関環境学専攻 分子・生命環境論講座)の研究グループは、水溶媒中でアルコールの脱水素的酸化を効率的に進行させる新しいイリジウム触媒を開発しました。この新しいイリジウム触媒は極めて水に溶けやすく、空気中や水中でも長期にわたって安定な触媒であり、扱いやすくて高性能という利点があります。このイリジウム触媒を水溶媒中で使用することにより、第二級アルコールを原料とする場合にはケトンを、第一級アルコールを原料とする場合にはカルボン酸を合成することができます。副生成物は水素ガスだけです。さらに、簡単な処理で触媒を回収、再利用も可能なため、大変環境負荷の小さい有機分子変換法だといえます。

 なお本研究成果は、藤田教授の研究室に在籍していた田村竜一さん(人間・環境学研究科2014年修士課程修了)、田中雄飛さん(総合人間学部卒業、人間・環境学研究科2016年修士課程修了)らが主に取り組んで得られたものです。その後、藤田教授の研究室に現在在籍中の吉田真人さん(博士後期課程1回生)と小野田光貴さん(修士課程2回生)らの尽力によって、学術論文にまとめることができました。

アルコールの脱水素的酸化を効率的に進行させるイリジウム触媒の概要

 本研究成果についてはプレスリリースを行いました。また京都大学のWWWサイトに「研究成果」として次の記事が掲載されております。そちらも合わせてご覧ください。

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