アンモニア水とアルコールから第一級アミンを効率的に合成する触媒系を開発しました

 安価で取り扱いの容易なアンモニア水を窒素源として用い、合成化学において価値の高い第一級アミンを選択的に得ることが可能な触媒系の開発が強く求められています。特に、アンモニア水とアルコールとの反応によって第一級アミンを触媒的に合成できれば、目的生成物以外に副生するのは無害な水のみとなり、環境調和性や原子効率(目的となる化合物への変換効率)に優れた合成手法となるため、非常に望ましいと考えられます。第一級アミンは、医薬、農薬、機能性材料、樹脂合成のための中間原料として広範に用いられています。したがって、取り扱いづらい原料を使わず、有害な副生成物を生み出さない第一級アミン合成の手法を開発することには、大きな価値があるといえます。

 藤田健一教授(相関環境学専攻 分子・生命環境論講座)の研究グループは、アンモニア水とアルコールとを原料として用い、新しく開発したイリジウム錯体を触媒として用いることによって、上記の課題を解決する新しい触媒系の開発に成功しました。今回開発したイリジウム触媒は、立体的に嵩高く、高い電子供与性を持った含窒素複素環カルベン(NHC)という配位子を持っていることが大きな特徴です(※嵩高く、つまり空間的に大きく、また電子供与性の高い配位子は触媒の効率を高めるのに有用に働きます)。そして、この新しいイリジウム触媒は、イオン性であるため水にとても溶けやすく、なおかつ空気中で安定なため取り扱いやすいという特徴もあります。

 なお本研究成果は、人間・環境学研究科修了生の古川翔一さん(2015年修士課程修了)が主に取り組んで得られたものです。その後、森島凡乃さん(現在修士課程2回生)と清水嶺之さん(現在修士課程2回生)らの尽力によって、学術論文にまとめることができました。

有害な副生成物を生まない安全な第一級アミン合成法

 本研究成果についてはプレスリリースを行いました。また京都大学のWWWサイトに「研究成果」として次の記事が掲載されております。そちらも合わせてご覧ください。

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