人間・環境学研究科(文化・地域環境論講座)で博士号を取得した 梶丸 岳さんが第31回田邉尚雄賞を受賞 

2014年06月09日掲載

人間・環境学研究科で博士号を取得し、平成24年度総長裁量経費 人文・社会系若手研究者出版助成をうけて出版された 梶丸 岳さん著書 『山歌(さんか)の民族誌 ― 歌で詞藻を交わす』(京大学術出版会、2013年)が平成25(2013)年度第31回田邉尚雄賞(一般社団法人 東洋音楽学会)を受けることになりました。
山歌(さんか)の民族誌 ― 歌で詞藻を交わす

 本書は、中国貴州省での延べ6年にわたる息の長いフィールドワークに基づいて、少数民族プイの「山歌」を徹底的に分析することによって、歌掛けという特異な芸能実践の特質を、社会環境・相互行為・遊びという三側面から多角的に究明した労作です。文化人類学のなかに「歌掛け論」という新しい研究ジャンルを確立しようとする著者の野心はとても清新です。参照される理論枠が著しく広範にわたることも本書の大きな特徴です。民族音楽学、アイデンティティ論、観光人類学、談話分析、会話分析、さらにはホイジンガやカイヨワに代表される遊び論などが、日本語、中国語、英語、仏語にまたがる夥しい文献資料によって参照されます。とくに、本書の高い独創性は、山歌の言語的相互行為としての側面に着目し、中国語とプイ語の膨大な書き起こし資料を微視的に分析したところに体現されています。また、少数民族として分類された人びとと、民族の表徴である伝統芸能との両義的な関係を生き生きと記述した点で、高い民族誌的な価値をもっています。歌い手たちの記憶に蓄えられた膨大な定型表現が文脈に応じて即興的に呼び出されるさまを鮮やかに照らしている点において、身体技芸の研究一般にも大きな刺激を与えるものです。以上のことが高く評価されました。

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