分子・生命環境論講座の和田智勝さん(修士課程2回生)が第5回JACI/GSCシンポジウムでGSCポスター賞を受賞しました
和田智勝さん(修士課程2回生、相関環境学専攻 分子・生命環境論講座 藤田健一研究室)が第5回JACI/GSCシンポジウムにてポスター発表賞を受賞しました。発表のタイトルは「イリジウム触媒を用いた含窒素複素環の脱水素化ならびに水素化」です。同シンポジウムは、化学技術による技術革新を推進し、人類および社会に貢献することを目的に、グリーン・サステイナブル ケミストリーを基盤とする各種活動の一環として公益社団法人新化学技術推進協会が開催しているものです。
近年、低炭素社会実現の観点から、水素は理想的なエネルギー源として注目されています。水素は電気エネルギーをはじめとする他のエネルギーに容易に変換でき、その際に二酸化炭素を生み出さず、重量あたりのエネルギー密度が非常に大きいという特長を持っています。水素の高度利用のためには、爆発性のある水素を、安全かつ効率的に貯蔵するための新しい手法の開発が必要とされており、水素を有機分子中の共有結合として蓄える、有機ハイドライドを利用する貯蔵方法が最近注目を集めています。本研究では、効率的な有機ハイドライド水素貯蔵システムの構築を目的として、含窒素複素環の触媒的な脱水素化と水素化について調査したところ、単一のイリジウム錯体触媒によりこれら両過程の進行を比較的温和な反応条件下で達成する新しい触媒系を開発することに成功しました。
今後は、より実用的な水素貯蔵システムとしての応用が期待されます。