博士後期課程3回生の朴紫暎さん(杉山研究室)が日本陸水学会第83回大会で「最優秀口頭発表賞」を受賞しました

相関環境学専攻 自然環境動態論講座 地球環境動態論分野の博士後期課程3回生の朴紫暎(Park Jayeong、パク ジャヨン)さん(杉山雅人研究室)が2018年10月7日に行われた日本陸水学会第83回大会(岡山大学環境理工学部)において最優秀口頭発表賞を受賞しました。朴さんの講演題目は「間隙水中での重合体ケイ酸の形成とその安定性について」でした。

研究概要:「間隙水中での重合体ケイ酸の形成とその安定性について」
ケイ素は地球で二番目に豊富な元素であり、環境水中ではケイ酸(H4SiO4)として溶存しています。無機化学的・物理化学的にはケイ酸は単量体濃度が1.7 mmol/L(溶解度)を超えると重合反応により二量体またはより高分子のケイ酸種を形成することが知られており、室内実験により重合体ケイ酸が合成されることも既に報告されています。しかし環境水中でのケイ酸の重合体の存在や生成機構については未だ報告されていません。

本研究では環境水の重合体ケイ酸について調査を行い、まず琵琶湖や河口湖のような淡水湖の湖底堆積物間隙水中では、これまで知られていた条件とは異なり、全溶存ケイ酸濃度が1.7 mmol/Lより低い場合でも重合体ケイ酸が生成されていることを発見しました。また重合体ケイ酸の生成は、溶存単量体ケイ酸と溶存鉄の共同沈殿や溶存単量体ケイ酸の水酸化鉄沈殿への吸着によって起こり、その重合体は無酸素還元的な条件下で非常に安定であることを確認しました。

さらに本研究で、淡水湖とともに汽水湖についても同様に調査を行ったところ、汽水湖の湖底堆積物間隙水中では淡水湖よりも全容存ケイ酸濃度が高いにも関わらず、重合体ケイ酸は全く検出されませんでした。この現象について、汽水湖水中で最も豊富な成分である塩化ナトリウム(NaCl)がその原因物質であるという仮説のもとに、本研究では重合体ケイ酸の形成と分解に対する塩化ナトリウムの影響について調べました。その結果、塩化ナトリウムは重合体ケイ酸の形成を抑制するとともに、分解を促進することが明らかになりました。
朴紫暎さん 最優秀口頭発表賞 賞状

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