修士課程2回生の山口竜晴さん(内本喜晴研究室)がThe International Joint Meeting of the Polarographic Society of Japan and National Taiwan Universityにて優秀ポスター発表賞を受賞しました
相関環境学専攻 物質相関論講座 修士課程2回生の山口竜晴さん(内本喜晴研究室)が令和元年(2019年)11月6-8日に国立台湾大学で開催されました、The International Joint Meeting of the Polarographic Society of Japan and National Taiwan Universityにて優秀ポスター発表賞を受賞しました。山口さんの発表題目は"The effect of cation mixing on activity and durability toward oxygen evolution reaction in LiNiO2"でした。 |
研究概要:"The effect of cation mixing on activity and durability toward oxygen evolution reaction in LiNiO2"
水素は貯蔵、輸送に適し、環境負荷が小さいエネルギー源であるため、燃料電池など水素をエネルギーキャリアに用いた水素エネルギーシステムに関心が集まっています。現在、水素は主に化石燃料の水蒸気改質、食塩電解工業の副生ガスなどにより製造されていますが、地球環境保護・保全の観点から、ソーラーパネル、風力等の再生可能エネルギーを動力源に用いた水電解による大規模な水素製造(Power-to-Gas)の重要性が増してきています。大規模な水素製造を行う場合、貴金属を電極に用いる固体高分子型水電解よりも、Ni等の遷移金属酸化物を利用できるアルカリ水電解が適していますが、アノードにおける酸素過電圧及びカソードにおける水素過電圧が依然として大きく、電極触媒材料の設計が非常に重要とされています。最近、LiをドープしたNiOは高い酸素発生反応(OER)活性を持ち、LiNiO2はBa0.5Sr0.5Co0.8Fe0.2O3-δやLaNiO3と同等の活性を示すことが報告されています。しかし、層状岩塩型のLiNiO2はLiイオン2次電池の正極材料として有名なLiインターカレーション材料であり、酸素発生中にLi+が脱離しやすく、触媒の劣化を引き起こすと予想されます。そこでLi(3a)サイトにNiをミキシングさせ、Li+の拡散パスを阻害できれば、LiNiO2の高い酸素発生反応活性を維持できると考えられます。本研究ではLiNiO2の焼成条件を最適化することでカチオンミキシング量を制御した試料の調製に成功し、実際に耐久性の向上が認められました。