共生人間学専攻・人間社会論講座で博士号を取得した田中亜以子さんが第34回「女性史青山なを賞」を受賞しました

田中亜以子さん(2016年3月に研究指導認定退学、2017年11月に博士号取得)が、2020年1月8日に第34回「女性史青山なを賞」を受賞しました。受賞対象となったのは著書『男たち/女たちの恋愛――近代日本の「自己」とジェンダー』(勁草書房、2019年)です。

 同書は、私たちが自明のものとする恋愛観が、明治以降にどのような紆余曲折を経て形成されていったのかを、特に近代的な「自己」という観念との関連で明らかにしたものです。
 近代に入り、私たち一人一人のうちには、本質的な「自己」なるものが存在するという価値観が生じます。そして、恋愛は固有な「自己」が理解される関係として、知識階層を中心に希求されていきます。しかし、どのような恋愛において、いかなる「自己」の実現を望むのかということは、属する時代やジェンダーによって異なっていました。
 同書では、人々が恋愛を通して求める「自己」の内実に着目することによって、恋愛という観念が、男性と女性にとっていかに異なるものとしてあったのか、また、近代的性別役割分業観の形成とともに、いかに恋愛が男女間に限定され、そのなかで性別役割分業から逸脱しない「自己」の形成が要請されていったのかが論じられています。
 今回の受賞においては、従来の研究においては文学、哲学、社会学などの専門領域に分断されていた多様なテクストを分析対象とし、かつ、異性関係だけでなく、同性関係をも分析対象とした広い視野が高く評価されました。
 なお同書は総長裁量経費による人文・社会系若手研究者出版助成金を受けて出版されました。

田中亜以子さん 第34回「女性史青山なを賞」 授賞式の様子

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