山本旭助教らの共著論文が2020年PCCP HOT Articlesに選出されました
相関環境学専攻 物質相関論講座 吉田寿雄研究室の山本旭助教らの共著論文が王立化学会(イギリス)の論文誌「Physical Chemistry Chemical Physics (PCCP)」の2020年PCCP HOT Articlesに選出されました.同論文は,京都大学,東京大学,大同大学,九州大学,SPring-8の共同研究の成果をまとめたものです.
Akira Yamamoto, Kazuya Arashiba, Shimpei Naniwa, Kazuo Kato, Hiromasa Tanaka, Kazunari Yoshizawa, Yoshiaki Nishibayashi and Hisao Yoshida
"Structural Characterization of Molybdenum-Dinitrogen Complex as Key Intermediate toward Ammonia Formation by Dispersive XAFS Spectroscopy"
Physical Chemistry Chemical Physics, 2020, 22, 12368 – 12372
DOI: 10.1039/c9cp06761b
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2020/cp/c9cp06761b/unauth#!divAbstract
研究の概要 "Structural Characterization of Molybdenum-Dinitrogen Complex as Key Intermediate toward Ammonia Formation by Dispersive XAFS Spectroscopy"
非常に安定な窒素分子を常温・常圧の温和な条件下で活性化し,エネルギーキャリアとして注目されるアンモニア分子に効率的に変換可能なMo錯体触媒が東京大学の西林仁昭教授らの研究グループで開発されています(Nishibayashi et al, Nature, 2019, 568, 536).本研究では,波長分散型X線吸収分光法(Dispersive XAS)により,窒素分子の三重結合切断の鍵となるMo中間体の時分割低温分析を行い,−75℃で安定に存在するMo中間体を捕らえることに成功しました.さらに,X線吸収スペクトルのシミュレーションを併用することで,観察された不安定なMo中間体の構造を推定しました.得られた知見は,温和な条件で窒素分子の活性化を可能とする反応経路に関するものであり,今後の触媒設計における重要な指針となるものと期待されます.