修士課程1回生の増田和俊さん(瀬戸口浩彰・阪口翔太研究室)が第68回日本生態学会大会にて最優秀ポスター賞を受賞しました

令和3年3月18日にオンラインにて行われた第68回日本生態学会大会において,相関環境学専攻 自然環境動態論講座の修士課程1回生の増田和俊さん(瀬戸口浩彰・阪口翔太研究室)が最優秀ポスター賞を受賞しました.増田さんの発表題目は「後氷期の気候温暖化が引き起こした分布末端集団の孤立化―ゼンテイカ群での事例―」でした.

研究概要:「後氷期の気候温暖化が引き起こした分布末端集団の孤立化 ―ゼンテイカ群での事例―」
第四紀の氷期―間氷期を繰り返す気候変動は植物の集団動態に大きな影響を与えてきました.多くの温帯性植物では最終氷期中の逃避地が分布の南端地域に存在したため,現在の分布末端集団に高い遺伝的多様性が残された例が知られています.一方で,分布の南端地域では氷期後の気候温暖化の影響で温帯性植物が個体数を減らし,その影響で遺伝的多様性が低下した可能性も考えられます.従って,氷期と間氷期のどちらの気候条件が集団の動態に強く影響したのかを調べることが重要だと考えました.本研究では,北海道~近畿地方に分布する多年生草本であるゼンテイカ群(ツルボラン科)の遺伝分析を行い,氷期と間氷期の古分布確率との比較相関解析を行うことで,気候変動が分布末端集団に与えた影響を調査しました.41集団737個体について遺伝分析を行った結果,6つの地域集団の存在が明らかになりました.北海道~中部地方は4つの地域集団から成り,各集団内の遺伝的多様性が高く,地域内での遺伝的分化が浅いことが分かりました.対して,分布末端集団の京都と隠岐の集団は独自の遺伝的組成に分化しており,各集団内の遺伝的多様性が低いことが分かりました.集団動態解析の結果,分布末端集団では後氷期に有効集団サイズが大きく減少し,遺伝的浮動の影響で分化が進んだことが示唆されました.さらに生態ニッチモデリングから推定された縄文海進期における古分布が,集団の遺伝的多様性を規定していました.以上の結果から,後氷期の気候温暖化による分布断片化がゼンテイカの分布南西端集団における集団動態・遺伝的多様性に強く影響したことが示されました.
増田和俊さん 最優秀ポスター賞 賞状

English