修士課程2回生の長澤耕樹さん(瀬戸口浩彰・阪口翔太研究室)が日本植物分類学会第20回大会にて口頭発表賞を受賞しました

令和3年3月8日にオンラインにて行われた日本植物分類学会第20回大会において,相関環境学専攻 自然環境動態論講座の修士課程2回生の長澤耕樹さん(瀬戸口浩彰・阪口翔太研究室)が口頭発表賞を受賞しました.長澤さんの発表題目は「火山性強酸性土壌におけるヤマタヌキランの分布決定要因 ー現地調査と栽培実験に基づくpHとAl3+の影響評価ー」でした.

研究概要:「火山性強酸性土壌におけるヤマタヌキランの分布決定要因 ー現地調査と栽培実験に基づくpHとAl3+の影響評価ー」
火山地帯では噴火に伴う撹乱の影響から周囲と異なる特殊な植生が広がります.特に,噴気孔周辺の硫気孔原では,硫気孔原特有の強酸性土壌に由来する低pHと高濃度のAl3+が植物の生育に大きな影響を与えることが指摘されてきました.しかしながら,実際にどちらの要因が硫気孔原植物の生育を阻害するのかについては十分な検証が行われていませんでした.そこで,本研究では東北地方の硫気孔原にのみ分布するヤマタヌキラン(カヤツリグサ科)という草本植物に着目し,硫気孔原における植物の生育阻害要因を明らかにすることを目的としました.ヤマタヌキランが実際に生育する地点の土壌分析と実験室内での栽培実験の結果から,ヤマタヌキランの分布はAl3+ではなくpHによって規定されていることが明らかとなりました.また,ヤマタヌキランのpH耐性とAl3+耐性を姉妹種と比較したところ,両種でAl3+耐性に差はなかった一方,pH耐性に顕著な差が見られました.以上のことから,硫気孔原においては低pHが強い環境ストレスであり,ヤマタヌキランは種分化の段階で低pH耐性を新規に獲得した可能性が示唆されました.これらの知見は,硫気孔原における極限植物の適応進化の過程を理解する上で重要であり,火山大国である日本における火山植生の形成過程を理解することにも寄与する結果であると考えられます.
長澤耕樹さん 口頭発表賞 賞状

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