博士後期課程1回生の増田和俊さん(瀬戸口浩彰・阪口翔太研究室)が森林遺伝育種学会第11回大会にて学生発表最優秀賞を受賞しました

令和4年11月11日に東京大学にて行われた森林遺伝育種学会第11回大会において,増田和俊さん(博士後期課程1回生 相関環境学専攻 自然環境動態論講座 瀬戸口浩彰・阪口翔太研究室)が学生発表最優秀賞を受賞しました.増田さんの発表題目は「海洋島で雌雄異株化したムラサキシキブ属はどのような性決定ゲノム基盤を獲得したのか?」でした.

研究概要:「海洋島で雌雄異株化したムラサキシキブ属はどのような性決定ゲノム基盤を獲得したのか?」
 海洋島で見られる植物相の特徴の1つに、雌雄異株植物の割合が大陸と比べて高いことが知られます。小笠原諸島に固有の3種のムラサキシキブ属(シソ科)植物は、世界で約140種を有する本属において唯一の雌雄異株であることから、両性花をつける祖先種が島に移入した後に雌雄異株化したと考えられます。本研究ではその1種であるオオバシマムラサキを対象として、両全性から雌雄異株に進化した過程で性決定システムどのように変化したのかを全ゲノム解析から明らかにすることを目的としました。最初にオオバシマムラサキの性決定領域を特定するため、新規に染色体規模の参照ゲノム配列を雌雄別に構築し、Pool-seq法で雄雌の全ゲノム比較を行いました。その結果、10番染色体上に約800kbpにわたる高分化領域が検出され、この領域がオオバシマムラサキの性決定領域であることが示唆されました。この性決定領域のアレル頻度や構造変異を雌雄間で比較したところ、本種は雄ヘテロ型の性決定様式を持つことが推定され、さらに遺伝子予測から性決定に関与している候補遺伝子を探索したところ、本種の表現型変異との関連が疑われる花粉稔性や雌蕊の発達に関わる遺伝子が性決定領域上に存在することが明らかになりました。

増田和俊さん 学生発表最優秀賞 賞状

人間・環境学研究科パンフレット 総合人間学部パンフレット
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