博士課程3回生の齋藤駿介さん(中嶋節子研究室)が2023年日本建築学会奨励賞を受賞しました

齋藤駿介さん(博士後期課程3回生 文化・地域環境講座 中嶋節子研究室)が、日本建築学会会員(満40歳未満)により近年中に発表された独創性・萌芽性・将来性のある建築に関する優れた論文等の業績を対象とした、2023年日本建築学会奨励賞を受賞しました。授与式は9月開催の日本建築学会大会(近畿)にて執り行われます。受賞対象論文の題目・概要は以下の通りです。

受賞対象論文


戦時期における仙塩地方開発総合計画の立案と都市計画 −戦時国土計画・地方計画と都市計画の関係−
日本建築学会計画系論文集 第86巻 第784号 pp.1792-1803 2021年6月
(DOI: https://doi.org/10.3130/aija.86.1792)

授賞理由

戦時期における仙台から塩竃にかけての開発総合計画が立案される背景や過程、計画内容、その影響や実態を明らかにしている。これまでの研究で充分に論じてこられなかった、戦間期の議論や都市計画との関係、国土計画や地方計画との関係などを視野に入れ、戦前から戦時へと連なる展開を俯瞰的に見渡す視座を得ようとする意欲的な論文といえる。公文書、技術者の論稿、新聞記事、省庁史、回想録等の多岐にわたる史料の収拾および整理から導かれた明解な論述は、当時の日本や東北地方が置かれていた状況、計画に関わった人物や組織それぞれの立場ゆえの思惑など様々な水準で輻輳する文脈を踏まえており、この時代の都市や社会への理解を深められるものとなっている。また、議論の軸にあった中央と地方の格差、国土の脆弱性といった問題は今なお切実で、多くの示唆を与えてくれる。
以上の理由により、本論文は日本建築学会奨励賞にふさわしい論文として高く評価できる。

人間・環境学研究科パンフレット
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