博士課程1回生の陳暁嘉さん(吉田純研究室)が関西社会学会第74回大会奨励賞を受賞しました

陳暁嘉さん(博士後期課程1回生 人間・社会・思想講座 吉田純研究室)が、2023年5月21日に関西社会学会第74回大会奨励賞を受賞しました。陳さんの研究報告の題目と研究の概要は以下の通りです。

受賞研究報告


『台湾の「同性婚」問題をめぐる言説の編成-合法化におけるフレーム調整過程を中心に-』
(関西社会学会第74回大会での奨励賞受賞者について | 関西社会学会Webサイト)

研究概要

 本研究は、台湾の「同性婚」問題にまつわる国民投票動員期における社会運動像の曖昧さを課題として捉え、運動団体の話法と参加者個人の語りそれぞれの特徴を分析することを通じて台湾の「同性婚」問題をめぐる言説の編成の一側面を考察したものである。
 「アジア初の同性婚合法化」に辿り着いた台湾は高く評価され、性的少数者の権利保障という点においては先進的な社会として認識されたが、台湾における世論調査のデータによれば、むしろ合法化や同性婚に関わる社会運動の展開と同時に、国民の同性婚に対する態度は一層保守的になってきていた。しかし、その国民投票期における矛盾のある事象についての分析は十分とは言い難い状況であった。そこで本研究では、社会運動の主要な担い手としての運動団体と参加者個人の言説をフレーム調整過程の観点によって分析・考察することを目的として設定した。
 本研究では「KH Coder」を用いて「同性婚」問題に深く関わる代表的な団体の言説特徴を見出してフレーム構築·変化の過程を分析し、半構造化インタビューで得られた10人の運動参加者の語りを分析して「非決定」的な個人がいかに決定していったかについて考察した。さらに前述の両面の分析のもとに総合的な考察を行った。その結果、特に保守派団体である「幸福盟」の国民投票動員期におけるフレーム増幅とフレーム転換という過程を描き出した。また、団体の話法は宗教的ではないのに対して個人の言説によれば宗教的要因はかなり大きな影響をもたらし、宗教的信仰がある場合、個人の宗教や教会に対する捉え方により、「同性婚」に対する態度や言動も異なることを明らかにした。

人間・環境学研究科パンフレット 総合人間学部パンフレット
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