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吉田彬人さん(博士後期課程2回生 文化・地域環境講座 山村亜希研究室)と光本凌大さん(文学部 学部4回生)が,2025年11月15日に2025年人文地理学会大会で学会賞(発表ペーパー部門最優秀賞)を受賞しました.
吉田さんと光本さんの研究題目と研究の概要は以下のとおりです.
研究題目: 「17・18世紀熊本藩領における職人の生業と暮らし─合志郡・芦北郡を中心に─ 」
研究概要: 本研究は、17・18世紀日本の村落に居住していた職人を対象に、生業や生活のあり方、担い手となる人々の特徴などの基礎的事実を明らかにし、地域の社会・経済における職人の特徴や位置を論じたものです。
検討の結果、職人は、一定規模の農業を営む傾向が明らかとなり、その背景には、当時頻発していた飢饉をはじめとする危機に対するリスク低減(最低限の食料の確保)や、女性・子供を含む家族労働力の効率的な活用があったと推測されました。
また、職人やその弟子には、高齢者や身体障碍者、病気の者、家を持たない者、幼少期に両親を亡くした者など、様々な事情を抱える社会的弱者が一定数含まれることが明らかになりました。
地域の支配を担った手永庄屋は、彼らのような社会的弱者にとって、職人としての仕事が生きていくうえで重要な手段となっていることを認識し、彼らの生存を実現するために、場合によっては彼らの違反や公役逃れをも黙認するような、柔軟な対応をとっていたことが明らかになりました。
こうした成果は、従来十分に解明されてこなかった近世の職人の生業を明らかにしただけでなく、支配者の側が、地域社会に生きる個々人の事情を踏まえ、彼らの生計維持・生存に配慮した柔軟な対応をとっていたことを明らかにした点でも重要であるといえます。
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