世界の各地では、地域特有の自然環境に影響を受け、特定の言語・宗教や社会・経済などの諸条件のもとに、固有の民族性や地域性が一つの文明として長い歴史的過程のなかで育まれてきました。こうした民族・地域の特性や居住の諸相を「文化・地域環境」として捉え、文化・地域環境の生成・展開・構築・保全の諸過程や現状の解明し、共生を基本とする文化・地域環境の構築法を探究するための教育研究を行ないます。

研究分野

文化人類学 風間 計博 教授, 田中 雅一 教授, 石井 美保 准教授, 岩谷 彩子 准教授
地域空間論 小方 登 教授, 小島 泰雄 教授, 山村 亜希 准教授
環境構成論 中嶋 節子 教授, 増井 正哉 教授, 藤原 学 助教
文化遺産学 尾野 善裕 教授, 高妻 洋成 教授, 玉田 芳英 教授, 馬場 基 准教授, 山崎 健 准教授
文化人類学分野
生業と生活、宗教、アイデンティティ、ジェンダー、セクシュアリティ、文化復興、日常実践などに焦点を当て、文化表象ならびに文化実践の生成機構や文化の動態を解明していきます。
  • 風間 計博 教授

    フィールドワークによって得た資料を分析し、人間の微細な日常的営みについて、自然や社会経済といった背景に関連付けて考えてきた。太平洋の小さなサンゴ島の村落部における社会生活が、現代のグローバル化した政治経済といかに結び付いているのか。また、故郷の島から強制的に追放されたディアスポラが、国家の狭間にあって、いかに自他を峻別し、自己カテゴリーを創出するのか。環境の中にある人間の微視的な認知や記憶、感情にも目配りしながら、現代の社会における共存と排除のあり方を追究していきたい。

  • 田中 雅一 教授

    ◆文化人類学、サイコー!  フィールドワークを手法とする文化人類学はさまざまな領域やトピックを扱うことができます。フィールドは、異国の秘境である必要はありません。最寄りの駅のプラットフォームでも、銭湯でも、行きつけの飲み屋でもかまいません。本をたくさん読むことも大事ですが、フィールドで出会った人たちの、なにげない一言やふるまいがその後の研究方向を大きく変えることがあります。研究だけではなく、人生を左右することもあるでしょう。自分の人生だけでなく、相手の人生もあなたとの出会いによって変わるかもしれません。フィールドでの経験と密接に結びついているダイナミズムこそ、文化人類学の魅力です。

  • 石井 美保 准教授

  • 岩谷 彩子 准教授

    人の心や社会のなかに「邪悪なもの」はいかにして生まれるのか。「悪」とされる存在のもとにおもむき、目を凝らし、その生成の場に立ちあうことで世界の成り立ちを考える。特に近代以降の「定住主義」によって周縁化されてきた、移動を生活の一部とする人びと(ロマ/「ジプシー」、移動民、露天商)の共同体構築と空間形成の事例を検討することで、領土を前提としない共同体や主体のあり方について探求する。


地域空間論分野
地理学を中心とする諸科学における、地域の構造と地域の形成に関する研究を行ないます。
  • 小方 登 教授

    都市地理学や地理情報科学を専門分野としています。都市地理学では,24時間という時間のサイクルの中で都市の脈動を扱いました。地理情報科学では,コンピュータを用いた自然・人文にわたる各種の現象のモデリング,またデータの処理・分析と表示に関心があります。また最近では,衛星画像やデジタル地形データを利用して,シルクロード地域や地中海地域における古代都市の立地やプランを明らかにすることなど考古・歴史地理学的分野にも興味を持っています。

  • 小島 泰雄 教授

    中国の農民はどのような空間的ひろがりの中で暮らしてきたのだろうか。農民にとって村落はどのような存在であったのか、市場町は、都市は、さらにもっと広い世界は、どのように農民の暮らしを支えてきたのだろうか。こうした問題を解明するために、地理学的な研究を進めています。具体的には、中国の農村にでかけてフィールド調査を行い、景観を観察し、農民の話を聞き、史資料を読んでいます。

  • 山村 亜希 准教授


環境構成論分野
都市や建築による環境構成の歴史と未来に対し、広範な理論的視野を確保しつつ、歴史・文化の文脈を講究します。
  • 中嶋 節子 教授

    都市の歴史を建築や環境から読み解くことが中心テーマです。日本の近世的都市空間が近代においてどのように変容したのかを,新しく現れた建築,そして,その建築が建つ土地の性格や所有などを手がかりに辿っています。また,都市部の変化と連動する郊外の成立について,郊外住宅地と住宅建築を軸に分析しています。建築とともに山や森,川や湖といった自然環境もまた研究対象です。

  • 増井 正哉 教授

    都市・集落の環境形成史、古い建造物・町並み・景観などの歴史的環境の保存・活用について研究しています。国内では近畿地方を中心とした歴史的都市・集落、国外ではパキスタン・インド・ネパールなどの南アジアをフィールドに、実際の町並み保存地区や史跡などの保存計画や管理活用計画づくりを行ってきました。ゼミでは具体的な対象地区を設定し、環境形成に関わる歴史的研究、歴史的環境の評価手法、保存・活用の具体的な手法ととマネイジメントの社会的仕組みの研究を行っています。

  • 藤原 学 助教

    建築には、空間の意味を変える技術という一面がありますが、こうした観点から、日本の近代の空間論を研究しています。


文化遺産学分野
文化財の歴史的意義を理解するとともに、考古資料の調査や古環境復元を通じて、環境と人間との関わりを追究していきます。
  • 尾野 善裕 教授

    本務として、奈良文化財研究所においては都城遺跡の発掘調査と土器の研究に従事しているが、永く博物館に勤務してきた関係上、出土品だけでなく伝世品をも射程に入れた土器・陶磁器の研究を志している。とりわけ、陶磁器の製作技術伝播に強い関心をもっており、しばしば混同される模倣と技術伝播の相違をいかに見極めるかについては、授業の中で詳しく論じてゆきたいと思っている。
    考古学は、物質的遺物を通して人類の過去を研究する歴史学であるとの立場から、即物的な研究にとどまることなく、歴史像を再構築することを目指している。もっとも、いかなる学問も基礎を疎かにすべきではないとの考えから、議論の前提となる遺物の編年研究には特に意を注いでいる。
    最も得意としているのは、日本の平安時代施釉陶器生産史である。ただし、専門分野を深く掘り下げて研究するには、周辺への目配りが必要であるとの認識に基づき、現在は古代から近代までの日本陶磁を主軸としながらも、東アジアからヨーロッパに至る陶磁器との影響関係についても研究を進めているところである。

  • 高妻 洋成 教授

    考古資料、歴史資料、美術工芸品、建造物、遺跡等の文化財資料を保存・活用するためには、その材質・構造、劣化要因および劣化状態などの現状を把握し、それらに適した方法で保存対策を施した上で、適切な環境下において維持・管理していかなければならない。文化財資料は材質的にもまたそれらがおかれている環境の面からも多種多様であり、その現状調査で用いられる様々な調査・分析技術および個々の文化財資料に対する適切な保存対策に関しては広範な知識と応用力を必要とする。また、これらの現状調査技術および保存修復技術は、科学技術の進展にともなって日々新たな研究開発がおこなわれている。文化財資料の保存修復の分野で応用されているこれらの技術について全般的に習得することを目指す。

  • 玉田 芳英 教授

    日本列島に居住してきた人々の精神文化について、考古学的手法を中心として明らかにする。対象とする時代は主として縄文時代で、時期を追いながら概観し、精神文化がどの様に発展、変化していったのかを考察する。また、特殊な遺構や遺物、あるいは集落や墓地の分析を通じ、特定の集団が保有する精神文化や地域間交流について明らかにしていく。さらに大陸の思想を受け入れて成立した奈良時代の精神文化なども比較検討し、現在の精神文化がいかにして育まれてきたのかについての視点を養成することも目指す。

  • 馬場 基 准教授

    歴史学研究には、素材である「史料」の取り扱い方の習得が欠かせない。史料の取り扱い方は、「史料操作」とも称される。だが史料の取り扱い方は、歴史学研究の単なる「手段」や「ノウハウ」にとどまるものではない。「どのように史料と向き合うのか」。その姿勢は、歴史学研究の姿勢と直結する。
    こうした問題意識から、史料学(特に木簡学)研究に力を注いでいる。文字資料・遺跡・地理情報・美術作品等、歴史情報を内包する「モノ」=資料群から、幅広く歴史情報を引き出し、歴史解明の「史料」とする試みである。発掘調査や、出土文字資料の整理・調査・研究業務に従事しているので、「出土文字資料」をカギに、「歴史の現場」から史料学の深化を目指す研究を進めている。元来の専門は日本古代史だが、中国簡牘・韓国出土木簡と日本木簡の比較研究、データベース開発での資料公開・社会還元など、「史料学」を軸に研究分野を広げつつある。
    史料と、「歴史の現場」を意識しながら向き合う。この「向き合い」を通じて、史料の歴史情報を最大限引き出す実地の訓練や、史料学の体系化に向けた知的冒険を通じ、史料学、ひいてはあらたな歴史像構築をめざして、共に学びながら、指導・教育を行いたい。

  • 山崎 健 准教授

    遺跡から出土する動物遺存体(動物の骨、角、歯、貝殻など)から、「人間が動物をどのように利用してきたのか」という動物資源利用の歴史を明らかにすることを主な研究対象としている。研究は、モノを丁寧に観察して、記録するという考古学の基礎的作業を重視する。そして、動物遺存体を分析するための技術の習得を目指すとともに、出土した動物遺存体の背景にある過去の人間活動を議論していく。教育指導にあたっては、知識を覚えるような受動的教育ではなく、これまでの研究史を踏まえて、自ら考えていく能動的教育を主眼とする。

* 独立行政法人 奈良文化財研究所


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