歴史と文化の相互交渉的関係の考究

地球上の諸文明と、それらを育んできた歴史文化社会とを、普遍性と特殊性及び共生可能性を展望しながら考究します。特に、東アジア及び欧米の歴史的・文化的・社会的特性を、通時的かつ共時的に解明することにより、歴史と文化の相互交渉的関係をよりダイナミックで立体的なものとして捉え直すための教育研究を行います。

研究分野

歴史社会論 熊谷 隆之 教授, 合田 昌史 教授, 佐藤 公美 教授, 吉江 崇 教授, バッテ, パッラヴィ・K 講師
東アジア文化論 佐野 宏 教授, 須田 千里 教授, 辻 正博 教授, 長谷川 千尋 教授, 松江 崇 教授, 道坂 昭廣 教授, 福谷 彬 准教授
西欧文化論 池田 寛子 教授, 桂山 康司 教授, 合田 典世 准教授
博物館文化財学 淺湫 毅 教授, 尾野 善裕 教授, 山川 暁 教授, 大原 嘉豊 准教授, 永島 明子 准教授
歴史社会論分野
日本及び欧米における文明と社会の関わり方を歴史的視点から考察します。
  • 熊谷 隆之 教授

     日本中世史、なかでも鎌倉幕府と荘園・村落を主たる研究対象としています。相互の連関をふまえて、現代社会に与えた影響もふくめて、できるだけ通時的かつ総体的に把握していきたいと考えています。

  • 合田 昌史 教授

    「大航海時代」のポルトガルやスペインについて研究しています。とくに両国が地球を山分けしようとした野心的な言説「世界分割」に関心があります。また、史料としての地図や図像への関心が高じて美術史にも少し手を出しています。

  • 佐藤 公美 教授

  • 吉江 崇 教授

  • バッテ, パッラヴィ・K 講師


東アジア文化論分野
日本の社会・文化・言語・思想・文学、および近代以前の中国の社会・文化・言語・文学を考察します。
  • 佐野 宏 教授

    古代日本語の表記と文体について、その成立過程と展開を明らかにすることが一つの研究テーマである。7,8世紀の日本語の表記は、漢字を取りこみながら、自分たちの表記法を構築している。漢字で読める世界から、日本語の文字で書ける世界へという展開にあって、多様な漢字の用法は次第に制限されてゆき、自分たちの文字が形成される。そこに広い意味での「文字遣い」、あるいは後の「仮名遣い」にも通底する規則性が胎動している。規則性の検証を通して、日本語の表記史を考えている。

  • 須田 千里 教授

    私の専門は日本近代文学で、特に、泉鏡花、芥川龍之介、久生十蘭、幸田露伴を中心に、作品の材源を解明し、作者の構想や成立過程を跡づける研究を行っています。これまで所属した院生の研究は、上記に加え、太宰治、江戸川乱歩、森鴎外、吉本ばなな、村上春樹など多種多様です。指導方針は、院生との対話を通じて作成する論文の問題点を共に考え、適切なアドバイスをすることです。なお、研究生は取りませんのでご注意願います。

  • 辻 正博 教授

     3世紀~12世紀ごろの中国史、言いかえれば、「三国志」の時代から「水滸伝」の時代までの中国社会について研究をしています。当時の社会の実態を知るために、法典から小説までさまざまな種類の文献史料を幅広く読んでいます。そのうち論文として発表するに至っているのは、政治制度・官僚制度と刑罰について調べたものです。 

  • 長谷川 千尋 教授

    日本古典文学、特に中世の連歌や和歌を中心に研究しています。連歌は、和歌、物語、説話、漢籍その他、先行する幅広いジャンルの文学的素材を取り入れ、言外に多くを込める余情に優れていて、作品を読み解く興味は尽きません。また、中世から近世にかけて、『古今和歌集』や『伊勢物語』などの古典の学問が、流派間の対立を孕みながらどのように形成され、展開していったのか、といったことにも関心を持っています。各地の図書館や文庫等に所蔵される原本の閲覧、諸本調査に基づく本文批判、未開拓資料の収集にも心がけています。

  • 松江 崇 教授

    中国語の歴史的研究に取り組んでいます。この分野の研究の魅力は、研究対象が悠久の歴史を持つ言語だということのみにあるのではありません。例えば、丹念に古代中国語文献を読解し、分析を進めていくと、ある瞬間に、それまで気づかなかった文法規則が浮かび上がってくることがあるのです。漢字という表語文字で表記されているために見出し難かった現象の「発見」に立ち会える瞬間が、この分野の研究の魅力だと感じています。古代中国語がなぜ・どのようにして現代の中国語に変化していったのかという刺激的で難解な問題を、一緒に考えてみませんか。

  • 道坂 昭廣 教授

     中国古典文学、特に南北朝から唐代の文学を勉強しています。この時代は社会全体にドラスティックな変化が生じた時代で、それにともなって人間の感情にも大きな変化が生じました。その変化が、文学ジャンルや作者構成にどのように反映しているのかといったことを調べています。まだまだ解明を待っている問題も多く、書かれた時代は古いですが新しい文学といえましょう。また、日本漢文学、江戸時代の漢文学に興味をもっています。

  • 福谷 彬 准教授


西欧文化論分野
西欧古代に端を発するルネサンスから近代にいたるイギリス文学・文化を考察します。
  • 池田 寛子 教授

    イギリス地域・詩歌・フォークロアをキーワードにすると、さまざまな興味深い文化現象に繋がっていきます。英語やケルト語の民謡は現代のポップスにも通じるものがあります。古今の歌の伝統は民衆の心から現代の世相までを映し出します。民間伝承物語は原題の児童文学作品やファンタジー小説などに通じていきます。視野を広げながら、どこかで何かに出会い、立ち止まり、深く掘り下げる、こういった知の探求を楽しみ、掘り上げたものを多くの人に価値あるものとして伝わるような文章にまとめていく、そういった論文作成のお手伝いをしたいと思います。イギリス地域の文学や民間伝承を読み解くにあたって、日本への影響、日本からの影響、といった比較文化・文学的な視点も大切にしたいと思います。

  • 桂山 康司 教授

     イギリスの詩を研究しています。言葉の多様な働きを詩人たちが如何に利用し、独自の表現法を開拓していったかを、作品内の言葉の微細なネットワークのうちに追及すると同時に、より大きな文化的枠組みとの関連においても解明しようとしています。

  • 合田 典世 准教授


博物館文化財学分野
博物館における文化財・美術作品の調査研究を通じて、作品の取り扱いや保存方法や展示作業等を多角的に学び、文化財への総合理解を深めます。
  • 淺湫 毅 教授

  • 尾野 善裕 教授

    本務として、奈良文化財研究所においては都城遺跡の発掘調査と土器の研究に従事しているが、永く博物館に勤務してきた関係上、出土品だけでなく伝世品をも射程に入れた土器・陶磁器の研究を志している。とりわけ、陶磁器の製作技術伝播に強い関心をもっており、しばしば混同される模倣と技術伝播の相違をいかに見極めるかについては、授業の中で詳しく論じてゆきたいと思っている。
    考古学は、物質的遺物を通して人類の過去を研究する歴史学であるとの立場から、即物的な研究にとどまることなく、歴史像を再構築することを目指している。もっとも、いかなる学問も基礎を疎かにすべきではないとの考えから、議論の前提となる遺物の編年研究には特に意を注いでいる。
    最も得意としているのは、日本の平安時代施釉陶器生産史である。ただし、専門分野を深く掘り下げて研究するには、周辺への目配りが必要であるとの認識に基づき、現在は古代から近代までの日本陶磁を主軸としながらも、東アジアからヨーロッパに至る陶磁器との影響関係についても研究を進めているところである。

  • 山川 暁 教授

    博物館という現場で、作品に囲まれながら、日本に伝世する染織品を研究している私は、とりわけ、仏教や神道に関わる宗教染織品、宗教の場で発達した祭礼や芸能に関わる染織品に、関心を寄せている。そのうち、最も集中的に研究しているのは仏教僧が用いる袈裟である。仏教はアジアで広く尊崇されてきたが、8世紀から始まり各時代の袈裟を相当数伝えているのは、日本のみである。さらに、その多くは日本製ではなく、仏法を求めて渡海した留学僧たちがもたらしたとの伝承を有している。その伝承が首肯しうるのか、作品そのものの分析を基礎に、東アジア各地の基準となる出土染織品との比較や、僧伝および寺院文書の調査によって検証している。
    工芸史研究の基礎となるのは、目にした作品から的確に情報を読み取り、数値化・言語化することである。その蓄積と比較研究が作品年代の比定につながり、さらにはそれが諸文献の読解と結びつく時、遠い過去がよみがえるような、歴史研究者ならではの醍醐味を味わうことができる。染織品の分析研究を例に、作品という過去と現在をつなぐモノから多くの情報を引き出す力を養い、自らの興味範囲の中で適切な比較対象を選定できる、自立した視点の確立を目標としたい。

  • 大原 嘉豊 准教授

    日本を中心とする東洋の仏教絵画を研究領域とする。美術史学は、造形の外見的特徴を分析することで発展した学問である。この柱が様式論であり、実物観察を通じた作品記述を繰り返すことで鑑識指標が整理され、制作年代や制作地、流派、作者を明らかにしてきたのである。しかし、作品制作が人間の手になる以上、作者や注文者を取り巻く環境などから歴史に正しく作品を定位させる必要がある。この場合、一旦、観察の際に脇に置いていた歴史学を含めた関連諸学の成果を作品研究に還元・反映させていく必要が生まれる。特に、仏教絵画は仏教史の研究と不可分の関係にある。かつ、仏教が外来宗教であったため、対外交渉史の観点も必要である。また、歴史が連続のうえに展開するものである以上、通時代的な視野も必要になる。本講では、実物調査と講義を通じて仏教絵画観察及び研究における着眼点を指導することで、自ら鑑識眼を育み、複眼的な研究の視座を獲得し自立して研究を行うことができるようになることを目標とする。

  • 永島 明子 准教授

* 独立行政法人 京都国立博物館


KYOTO UNIVERSITY 125th 国際ガラス年 2022 新型コロナウイルスへの対応について
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国際ガラス年 2022