学術越境センターのミッション
人間・環境学研究科は,令和5年度に,学術越境力を備え,総合知の創出と活用に貢献できる研究者・実務家の育成に向け,大学院組織の再編を行いました。異なる学術領域を架橋し新領域の開拓に貢献できる質の高い博士研究者,高度な専門学術を産業界や行政組織の中で活用して社会課題の解決に貢献できる博士研究者,国際組織や海外大学,研究組織で異なる文化圏・言語圏の人々に学際知を発信できる博士研究者の育成を目指し,従来の共生人間学専攻,共生文明学専攻,相関環境学専攻を人間・環境学専攻に改組しました。一専攻化と同時に、学術分野間,産官学連携,国際連携の教育研究機会の創出と提供を通じた,修了後に社会の諸領域で総合知の創出と活用に貢献できる人物の育成を目指して学術越境センターを設置しました。
学術越境センターはこの目的を達成するために、①学生が主体的に実行できる柔軟かつ先導的カリキュラム(学術越境プログラム,海外留学や学際共同研究など)により,異なる分野の専門家と協働して問題解決する学術越境経験を通して学術架橋力を備えた人物を育成する,②他の専門分野の専門家と対話する教育カリキュラム(研究を他者と語る,分野横断中間発表,学術越境科目など)により,狭い専門分野に閉じることなく,自身の専門知を相対化できる視野の広い学際知を備えた人物を養成する,③知識を持たない他者に専門知をわかりやすく伝える力を養成するカリキュラム(教養教育実習,学際研究演習)により,専門の枠にとらわれずに学知の本質を伝える力である教養知を養成する,ための様々な取り組みを推進します。その結果として、」学術架橋力を携えて企業や行政組織で活躍する人物を輩出することで,現状の人物養成の偏りを是正し,博士学位取得者のキャリアパスの多様化を図ります。今後,総合知の創出と活用によりSociety5.0を実現するためには,研究者と企業,行政組織のキャリアが流動化されることが必要であり,センターの活動は未来社会の中で力を発揮することのできる人物の育成を目指しています。
学術越境センターでの実践を通して、学際性を備えて社会の様々な領域で活躍を目指す人々が,大学院での博士学位取得がキャリア形成に有用であることを理解し,教育研究に参加することを促すとともに,高度知識社会の中で,人文・社会科学の知と自然科学の知を融合するのに不可欠な,異なる分野間で専門的な深い対話をする力,すなわち学術架橋力を備えた人物を育成します。さらには,学術架橋力を備えた人物が,学術界,産業界,行政組織,国際組織,高等教育組織などで総合知の創出と活用に貢献することで,Society5.0の実現という社会的需要に応えます。