専攻/講座/分野 共生人間学/人間社会論/人間形成論
総人学系 人間科学
所属機関/部局
電子メール matsumoto.takuya.6s [at_mark] kyoto-u.ac.jp (※下記の「メール連絡の際の注意事項」をご確認の上、送信してください。)
個人ページ Website

Message to the prospective students

◆研究室を目指す皆さんに
 当研究室では、(1)精神病理学、(2)精神分析学を主軸とし、その他に(3)精神医学史、(4)病跡学、(5)フランス現代思想の研究を行うことができます。

 (1)精神病理学というのは精神医学の基礎をなす学問であり、簡単にいうと「文系的な方法論によって、人間の精神病理(主として精神疾患において現れる異常心理)の成り立ちとありようを明らかにする」もので、文理の境界線上にある、すこし変わった学問であるといえます。近代的な精神医学は、およそ19世紀に鎖から「解放」された精神障害者たちが何を考え、語っているのかを聞き取るところから始まりました。その結果、その患者たちに現われている思考や感情の成り立ちとありようを植物を分類するように分類し、適切な名前を与えるような学問が生まれます。それが、精神症候学と疾患分類学であり、後にそれらを総称して「精神病理学」と呼ぶようになったのです。20世紀に入ると、後に哲学者となるカール・ヤスパースが、初期フッサールの記述心理学やディルタイの了解概念を用いて精神病理学を方法論的に基礎づけ、精神症状の的確な記述、分類、命名、類型化などを主として行う「記述精神病理学」が生まれます。そして、その後には、ハイデガーの存在論や、フッサールの現象学に依拠しながら人間の存在論的なありようから精神疾患を考察したり、患者と医師の「あいだ」「出会い」の場において立ち上がる現象を取り扱う「現象学的(人間学的)精神病理学」が誕生します。また、(2)の精神分析学を特に「力動精神医学」と呼んで精神病理学の一種とみなす場合もあります。
 (2)精神分析学とは、ジークムント・フロイトによって創始され、精神病理学と絡み合いながら発展してきた理論と治療技法のことを指します。精神分析は、精神症状の症状の背後にある無意識的な機制や動機を重視し、症状の意味の解釈に重きを置くものとして登場しましたが、現代ではさまざまな学派に発展しています。当研究室では、フロイトのほかに、特にフランスの精神分析家であるジャック・ラカンの精神分析を研究しています。
 (3)精神医学史は、精神病理学や精神分析学における諸概念がどのように生まれ変化してきたのかを研究する学説史研究と、精神障害者の処遇などを研究する精神医療史研究に大別することができます。
 (4)病跡学は、精神病理学や精神分析学の考え方を用いながら、作家や芸術家などの傑出人の作品と病の関係を研究するものです。
 (5)また、精神病理学や精神分析学は、哲学・思想と関係をもちながら発展してきたものであることから、当研究室では特にラカンやジル・ドゥルーズ等のいわゆる「フランス現代思想」の思想研究も行っています。
 

◆以下に、担当科目を簡単に説明しておきますので、履修の参考にしてください。
 「精神病理学Ⅰ・Ⅱ」では、前期に実際の統合失調症や躁うつ病、神経症などの症例を中心に精神病理学を学び、後期では精神病理学の理論展開を学びます。
 「精神分析学」では、フロイトとラカンの精神分析学の基礎理論を学び、「精神分析Ⅰ・Ⅱ」ではそれぞれ精神分析的な観点からの病跡学と集団心理学を学びます。
 「精神病理学・精神分析学」では、近年注目を集めている自閉症スペクトラムについて、精神病理学や精神分析学の考え方を参照しながら思考する力を養います。
 「精神病理学・精神分析学講読演習」では、ラカンを中心に英語・フランス語の文献を読む力を養います。
 「精神病理学・精神分析学演習A・B」は大学院と合同のゼミであり、研究発表(卒業論文を含む)・学会発表予行・論文指導などが行われます。卒業論文の指導は3年次から始まりますので、当研究室での卒業論文作成を希望される方は、必ず3年次から受講してください。


◆当研究室で研究を希望される学生は、上記の科目を計画的に履修し、自分の研究上の興味・関心が(1)~(5)のどの分野にあるのかを明確にしておくと良いでしょう。興味のある方、研究や学習について相談したい方は木3のゼミや、木4のオフィスアワーに来てください。総合人間学部以外の学生も歓迎します。


◆メール連絡の際の注意事項
学生の方は、下記の事柄に関するメールの送信はご遠慮ください。
・ 講義資料の希望
・ 単位認定の相談
・ 卒業論文で用いるアンケート調査の依頼

学内者の研究・学習上の相談は基本的にKULASISに掲示してあるオフィスアワーにお願いします。
オフィスアワーに来られない方や、学外の方はメールで日程等をご相談ください。
研究分野 精神病理学、精神分析学、精神医学史、病跡学、フランス現代思想
キーワード ジークムント・フロイト、ジャック・ラカン
研究テーマ ドイツ・フランスの精神病理学、およびジークムント・フロイトやジャック・ラカンをはじめとする精神分析理論を基盤として、言語的存在かつセクシュアリティと関わる存在としての人間に生じうる様々な症状や創造性や社会病理の解明を目指しています。精神病理学や精神分析理論の他に、それらの関連領域であるかぎりでの哲学・思想、精神病理学や精神分析理論が発展してきた歴史の解明を目指す精神医学史、精神の病と芸術作品や時代病理などの関係を問う病跡学などの、人文科学と精神医学の中間領域に属する複数の分野を射程に入れた研究を行っています。
代表的著書,論文等 『人はみな妄想する――ジャック・ラカンと鑑別診断の思想』(青土社、 2015年)
『症例に学ぶ精神科診断・治療・対応』(金原出版、 2015年、共著)
『労働と思想』(堀之内出版、2015年、共著)
『ニュクス』第1号(堀之内出版、2015年、編集主幹)
『天使の食べものを求めて―拒食症へのラカン的アプローチ』(三輪書店、2012年、分担執筆)
『現代精神医学事典』(弘文堂、2011年、分担執筆)
所属学会,その他の研究活動等 日本精神神経学会、日本精神病理学会、日本ラカン協会、日本統合失調症学会、精神医学史学会、日本病跡学会
担当授業
  • 学部 精神病理学・精神分析学
    精神病理学・精神分析学演習A・B
  • 大学院修士課程 生成無意識論2
    人間形成論演習1
  • 大学院博士課程
  • 全学共通科目 精神病理学Ⅰ・Ⅱ
    精神分析Ⅰ・Ⅱ
    精神分析学
    精神病理学・精神分析学講読演習
    行動病理学Ⅱ
経歴等 1983年、高知県生まれ。2008年3月、高知大学医学部医学科を卒業。2008年4月から2010年3月まで、自治医科大学附属病院初期臨床研修医。2010年4月より、自治医科大学精神医学講座に入局し、後期研修医として主任教授・加藤敏のもとで精神分析と精神病理学を学ぶ。2011年7月、日本統合失調症学会一般演題奨励賞を受賞。2015年3月、自治医科大学大学院医学研究科修了、博士(医学)。2015年4月より、自治医科大学精神医学講座助教。2016年4月より、現職。
English