専攻/講座 人間・環境学/物質科学
総人学系 自然科学
所属機関/部局
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Message to the prospective students

平成19年4月に新しく発足した研究グループです。現在研究室の立ち上げを行っており、意欲のある学部生・大学院生の参加を募っています。冷却原子の研究テーマの多くは物理の非常に基礎的な問題にアプローチするものであり、その実験手法も、捉えたい物理現象の視覚化に最適な物理状態を原子の冷却を出発点としたボトムアップ操作により創り上げいくという大変独特なものです。必要な基礎理論と冷却原子研究の最初歩から最前線に到るまでのすべての技術を、立ち上げ作業を通じて修得することは、将来、どのような進路に進む場合にも役立つ貴重な経験になると思います。
研究分野 中性原子のレーザー冷却・トラッピング(捕獲)、超冷却原子を利用した新しいスタイルの物理の研究
キーワード レーザー冷却、トラッピング、超冷却原子、光格子、物性物理学、量子シミュレーション
研究テーマ 自然界の物質の特性を原子や電子レベルから理解する科学である物性物理学の基礎となるのは、量子力学と統計力学である。この量子統計性に起因する純粋で普遍性をもった原理は、構成粒子間の複雑な相互作用のため、通常は現象の奥底へと隠されてしまっている。この純粋な原理を抽出するには、ではどのようなシステムを用意すればよいか。それには、系を弱く相互作用しあう原子気体で構成し、原子の量子統計性の効果を直接観測できるまでに巨視的な広がりで発現させ、かつその物理状態を思いのまま自在に制御できるようにすることであろう。レーザー冷却、トラッピング(捕獲)に代表される一連の原子操作技術で我々が創り出しているのは、まさにそのような物理状態である。レーザーによって絶対零度近くまで冷却した量子気体(量子統計性が顕著に現れる気体、例えばボーズ・アインシュタイン凝縮した原子気体)を、別のレーザー光で形成した空間格子(光格子)の中に閉じ込めた系は、次元や格子間隔など系の性質を特徴づける全パラメーターを自在に制御できる新しい量子多体系として注目されており、誕生して間もない新しい研究分野にもかかわらず、その研究はまさに世界的規模で進展している。この量子気体と光格子を武器に、いまだ解明されていない基礎物理学の難問や未踏領域の開拓に挑み、新しい物理のフィールドを切り開くことを目指しています。現在、熱平衡から遠く離れた量子気体の非平衡ダイナミクス、低次元系量子気体の量子シミュレーション、量子情報処理に必要な原子“デバイス”の基本動作原理の実現など、基礎的な研究テーマを中心に実験の準備を進めている。
代表的著書,論文等 [1] T. Kinoshita, T. Wenger and D. S. Weiss, "A Quantum Newton’s Cradle": Nature 440, 900-903 (2006).
[2] T. Kinoshita, T. Wenger and D. S. Weiss, "Local Pair Correlations in One-Dimensional Bose Gases": Phys. Rev. Lett. 95, 190406 (2005).
[3] T. Kinoshita, T. Wenger and D. S. Weiss, "All-optical Bose-Einstein condensation using a compressible crossed dipole force trap" : Phys. Rev. A 71, 011602 (R) (2005)
[4] T. Kinoshita, T. Wenger and D. S. Weiss, "Observation of a One Dimensional Tonks-Girardeau Gas" : Science 305, 1125-1128 (2004).
[5] A. Gorlitz, T. Kinoshita, T. W. Hansch and A. Hemmerich, "Realization of bichromatic optical superlattices" : Phys. Rev. A 64, 011401 (2001).
所属学会,その他の研究活動等 日本物理学学会
アメリカ物理学学会
担当授業
  • 学部 自然科学英語(2007年前期)、自然科学入門(2007年後期)
    課題演習・物理科学 レーザー物理学(2007年後期)
  • 大学院修士課程 物質相関基礎論(2007年前期)
  • 大学院博士課程
  • 全学共通科目 熱力学(2007年前期)、物理学基礎論B(2007年後期)、統計力学(2007年後期)
    物理学実験(2007年後期)
経歴等 1991年 京都大学理学部 卒業
1993年 京都大学大学院 理学研究科 物理学第一専攻 修士課程修了(理学修士)
1996年 京都大学大学院 理学研究科 物理学第一専攻 博士課程修了(理学博士)
1996-1998年 パリ高等師範学校 カスラー・ブロッセル研究所 ポスドク研究員
1998-2001年 ドイツ マックスプランク量子光学研究所 ポスドク研究員
2001年 東京大学工学部 附属総合試験所 教務補佐員
2001年-2007年 アメリカ ペンシルバニア州立大学 物理学科 ポスドク研究員
2007年4月より 京都大学大学院 人間・環境学研究科 准教授に着任

1994-1996年 学振特別研究員、1998-2000年 フンボルトフェロー、
2006-2010年(予定)まで日本科学技術振興機構(JST)さきがけ研究員
人間・環境学研究科パンフレット
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