研究科: 専攻等/講座 人間・環境学/芸術文化
学部: 講座 (学系) 芸術文化 (人間科学系)
所属機関/部局
電子メール suto.shuhei.3f@kyoto-u.ac.jp
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※ 学部の学系は令和5年度までの制度による組織での所属を表しています

Message to the prospective students

◆当研究室を目指す皆さんへ
 私の専門は近代ドイツ文学、特に18世紀末から19世紀初頭の文芸作品やジャーナリズムですが、研究室の院生諸君の研究対象は、旧制高校におけるドイツ語教育、フリードリヒ・リストを中心とした政治・社会思想、E・T・A・ホフマン、英独ゴシック文学など、多種多様です。ゼミである演習授業には、他研究室・他研究科から、これまた様々な分野の院生が集まってくれています。専門的知識を身に着けることはもちろん、自分の問題意識を持って研究対象と誠実に向き合い、わかったことを他者に伝え、さらに省察的に自己を高める、そんな〈学問する場〉を提供したいと思っています。
研究分野 近代ドイツ文学
キーワード フォルク(民族、民衆)、公共圏/公共性、ロマン主義、パトリオティズム(愛国主義)、ヨーゼフ・ゲレス、ハインリヒ・フォン・クライスト、ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフ、歴史社会学、概念史、メディア史
研究テーマ  18世紀末から19世紀初頭のドイツ文学において、民族・民衆・国民を表す「フォルク(Volk)」という言葉がどのように使用されたかを、H・v・クライストやJ・v・アイヒェンドルフといったロマン主義時代の作家の小説や戯曲を対象に研究してきました。最近は、フランス革命期に独仏のはざまに立たされたライン左岸地域のジャーナリスト、ヨーゼフ・ゲレスを中心に、1790年代における「世論」「真実」「愛国」といった概念についても研究しています。
 一つの言葉が意味するものは、時代や場所、あるいは使用者の個性によって微妙に異なります。その差異から、その時代・場所に生きた人々がどのような世界を見、どのような価値観で生きていたのかに迫ることができる、というのが私のスタンスです。
代表的著書,論文等 『視る民、読む民、裁く民――ロマン主義時代におけるもうひとつのフォルク』(松籟社、2019年)
『文学と政治――近現代ドイツの想像力』(共著、松籟社、2017年)
『引き裂かれた「現在」――1830年代の文学と政治』(共著、日本独文学会研究叢書、2016年)
『映画でめぐるドイツ――ゲーテから21世紀まで』(共著、松籟社、2015年)
所属学会,その他の研究活動等 日本独文学会(同会京都支部、西日本支部)、日本アイヒェンドルフ協会、日本グリルパルツァー協会
担当授業
  • 学部 ドイツ文芸表象論演習AB、ドイツ文芸表象論講義AB
  • 大学院修士課程 ドイツ文芸思想論、文芸表象論演習2
  • 大学院博士課程 ドイツ文芸思想論、文芸表象論演習2
  • 全学共通科目 ドイツ語IAB(文法、演習)、ドイツ語IIAB
経歴等  1987年山形県酒田市生まれ。京都府立大学文学部文学科を卒業後、京都大学大学院人間・環境学研究科で修士号、博士号を取得。関西のいくつかの大学での非常勤講師、福岡大学人文学部講師を経て、人環・総人に戻る。
 私の目下の研究テーマ・方法は概念史/文化史的なものですが、もともとは文学青年で、国内外、新旧の小説を読むのがとにかく好きでした。もちろんいまも大好きです。とはいえ私の関心は、高尚な文芸作品を批評することよりも、作品に描かれる人物や世界を私自身が対峙しているものと重ね、あれこれ考えるということにあるようです。特に、登場人物が自分を取り巻く「群衆」や「世間」、つまり「みんな」によって流されたり攻撃されたり、あるいは助けられたりする姿は、社会的動物たる人間の本質のように思え、私の関心を引きます。こうした文学のような哲学のようなふわっとした問いに学術的に取り組めたのは、人間・環境学研究科という場所があったおかけだと、いま振り返ってみて思います。
人間・環境学研究科パンフレット 総合人間学部パンフレット
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