専攻/講座 人間・環境学/芸術文化
総人学系 人間科学
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Message to the prospective students

・実践的な保存修復(絵画を大学にお預かりしての作品処置など)は大学設備の都合上、指導することができません。作品調査の立ち合いや、光学調査などは実施が可能となる場合があります。上記ご承知おきください。
・「保存修復」を研究主題とする方のみならず、ひろく美術・芸術を対象に多角的な検討を試みる方を歓迎します。
・受験に先立って面談を希望する場合は、あらかじめメールアドレスにご連絡をくださいますようお願いします。
研究分野
キーワード 美術作品(主に絵画、現代美術)保存修復、保存修復史、技法史、近現代イタリアの保存修復理論、アーカイブ
研究テーマ 美術作品を「のこし」「なおす」技法と理念──「保存修復学」は、現場での実践と美術史家たちによる理論展開の二つの場に分断されて断絶状態におかれた期間が長く、この事態が総合的な学術研究の完遂を阻む大きな壁となってきました。実践と理論の実質的な相関性はどこに見出しうるのか。そこに各国・各時代において活躍した美術史家や修復家たちの思想をいかに読み取ることができるのか。こうした問いを出発点に、近代保存修復学の礎を築いたイタリアの美術史家チェーザレ・ブランディの修復理論をひとつの軸としながら、同時代の医学や人類学、美学、表象文化論などとの交差にも目配りしつつ、考察を続けています。国内美術館に収蔵されている近現代美術の調査や保存修復、作品のメンテナンスなどを行いながら、主に非破壊の光学調査を介した作品の技法や構造、来歴の研究実践を重ねています。近年は現代美術の保存修復に関心を持ち、具体的な検討を進めています。
代表的著書,論文等 著書・出版物
・『のこす つなぐ よみがえる 小田原市民会館大ホール壁画の記憶展』This and That 2023年 (監修・共著)
・『タイムラインー時間に触れるためのいくつかの方法』This and That 2021年 (共著)
・『美学の辞典』丸善出版 2020年 (分担執筆)
・『印象派、記憶への旅』青幻舎 2019年 (展覧会図録:論考執筆)
・『保存修復の技法と思想:古典芸術・ルネサンス絵画から現代アートまで』平凡社 2015年 (単著)

論文 (2017-)
・「美術作品の保存修復における光学調査の役割と展望」『レーザー研究』No. 51(6) 2023年 (Now in print)
・「1966年アルノ川大洪水における美術作品レスキューと保存修復をめぐる一考察 ―ウンベルト・バルディーニの保存修復理念と技法の射程―」『史学』No. 91(3) 2023年(Now in print)
・「アンリ・マティス作品と保存修復」『ユリイカ』 No. 53(5) 2021年5月 pp. 112-120
・「実用性の回復か、痕跡の保存か:18世紀西洋における近代保存修復学の萌芽」『考古学ジャーナル』 No. 738 2020年4月 pp. 36-39
・「ラファエル・コラン《海辺にて》をめぐる一考察 ―光学調査による技法分析を中心に」『福岡市美術館 研究紀要』 No. 8 2020年3月 pp. 25-36
・「ジャン=フランソワ・ミレー《角笛を吹く牛飼い》調査修復」『山梨県立美術館 紀要』 No. 33 2019年3月 pp. 7-11
・「近現代美術の「臭気」をめぐる一考察 ─展示、収蔵、保存、修復のケーススタディ」『ディアファネース ─芸術と思想』No. 5 2018年3月 pp. 45-63
・「保存修復とX線の『暴力性』-キャサリン・ジルジュ《スザンナと長老達》をてがかりに」『表象』No. 11 2017年3月 pp. 234-253

翻訳
・レイエス・ヒメネスほか『ピカソ 青の時代をこえて』青幻舎 2022年 (展覧会図録:論考翻訳)
・チーロ・カステッリほか『レオナルド・ダ・ヴィンチ 失われた大壁画の記憶 《タヴォラ・ドーリア》徹底研究』東京美術 2021年 (共訳)
・マリア・ジュゼッピーナ・ ムッツァレッリ『イタリア・モード小史』知泉書館 2014年 (共訳)
・Alberto finozzi ecc, Utilizzo della colla Funori nel restauro, Prato 2013 (共編/論文翻訳)

展覧会
・「タイムラインー時間に触れるためのいくつかの方法」 京都大学総合博物館 2019年
・「のこす つなぐ よみがえる 小田原市民会館大ホール壁画の記憶」小田原三の丸ホール 2022-2023年
所属学会,その他の研究活動等 美学会、美術史学会、文化財保存修復学会、アート・ドキュメンテーション学会、表象文化論学会
担当授業
  • 学部 創造ルネッサンス論A・B、創造ルネッサンス演習A・B、人間科学系入門B

  • 大学院修士課程 芸術生成論2A・2B、創造行為論演習2A・2B、共生人間学研究I・II
  • 大学院博士課程 創造行為論特別演習I・II、共生人間学特別研究I・II、思想文化論特別セミナー
  • 全学共通科目 創造ルネッサンス論A・B、芸術学Ⅰ・Ⅱ、ILASセミナー:西洋美術の歴史、創造ルネッサンス論基礎ゼミナール
経歴等 2007年フィレンツェ国際芸術大学絵画修復科(Università Internazionale dell'Arte Firenze Facoltà: restauro dei dipinti) 修了、市内修復工房にて絵画修復士として勤務。2014年、京都大学人間・環境学研究科博士後期課程修了(博士 (人間・環境学))。東北芸術工科大学文化財保存修復研究センター(日本学術振興会特別研究員PD)所属後、東海大学創造科学技術研究機構に着任(文部科学省卓越研究員)。東海大学教養学部芸術学科准教授などを経て、2023年4月より京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。
人間・環境学研究科パンフレット
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