専攻/講座 人間・環境学/人間・社会・思想
総人学系 人間科学
所属機関/部局
電子メール kuraishi.ichiro.2v(at)kyoto-u.ac.jp ★研究生については本ページ上部の記載をご覧下さい
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Message to the prospective students

◆研究生募集について
 私の指導を受けたい方は、まず自力で大学院入学試験を突破して入学を果たして下さい(院進学希望という位置づけの
研究生はとらない方針にしています)。

◆有斐閣『書斎の窓』(隔月刊行)に連載「学校はめくるめくワンダーランド!―歴史と経験への旅」開始
 有斐閣のPR誌『書斎の窓』の684号(2022.11)より標題の連載を始めました。文学作品や映画、漫画などを手がかりに、学校の歴史や現在にアッと驚く(ワンダーな)光を当てることを目指します。第1回のテーマは「軍事教練と体育教官室」、第2回(685号、2023.1)は『長い道』(漫画・映画『少年時代』原作)を手がかりに「学童疎開」をめぐり論じ、第3回(686号、2023.3)では『二十四の瞳』の原作小説と木下監督版映画を手がかりに男女混合/別学の学級編成について考え、第4回(687号、2023.5)では再び『二十四の瞳』をクローズアップし、松永健哉の『子供の自治生活』の記述を対照させ、男女混合級の都鄙間での意味の違いを考察しました。有斐閣の公式HPより無料で読むことができます。ぜひご笑覧下さい。

◆研究室出身者の著書刊行について
 本研究室出身で2021年3月に博士号を取得した佐川宏迪(さかわひろみち)さんが、学位論文をまとめた著書を勁草書房より刊行しました。この研究室への進学を考えている方はぜひご参照ください。※佐川さんは2023.4より熊本学園大学商学部専任講師として活躍しています。
 佐川宏迪著『定時制高校の教育社会学:教育システムの境界と包摂』勁草書房、2022年1月、978-4-326-25159-9、A5・160ページ、定価3850円

◆Educational Studies in Japan: International Yearbook, 15 (2021)に論文が掲載されました(研究室の院生の論文も掲載されました)。
 上記国際ジャーナルに拙稿"Why is Educationalization Ubiquitous but Marginal in Japan?: A Consideration on a Different Background of School Reforms"が掲載されました。また偶然ですが同じ号に、当研究室所属の博士後期課程本間桃里さんの論文"Education-Welfare for Immigrant Children: How School are Involved in the Daily Life of Immigrants"も載っています。併せてご参照下さい。

◆新著刊行のお知らせ:『教育福祉の社会学:〈包摂と排除〉を超えるメタ理論』明石書店
 このたび明石書店より新著を刊行しました。教育における包摂と排除についてこれまで長く考えてきましたが、経験的
事実の記述だけの積み重ねに行き詰まりを感じ、何とかブレイクスルーできないかともがいた軌跡を本にしたものです。
かと言って理論的思考で埋め尽くされた本というわけでもなく、2019年の『テクストと映像がひらく教育学』の路線を
引継ぎ映画や映像を手がかりにした章も含まれています。ここまで来ると私の映画好きも病膏肓に入るといったところです。

◆共著『問いからはじめる教育史』刊行のお知らせ
 このたび、岩下誠さん、三時眞貴子さん、姉川雄大さんとの共著で『問いからはじめる教育史』(有斐閣ストゥディア)を
上梓しました。エッジの効いた斬新な教育史の本ができたと思っています。どうかご一読下さい。

◆研究室を目指す皆さんに
この研究室は、教育を社会・歴史的文脈のなかで捉える、あるいは社会とのつながりにおいて捉えるという点をゆるやかに共有しながら、多様なテーマを研究する人たちが集まっています。ただ、目先の問題を追うばかりでなく、教育についての原理的、理論的洞察を深めることも重要です。理論、フィールド研究といった方法を問わず、新たな教育学を創造しようとする意欲ある方の応募をお待ちしています。なお修士課程、博士後期編入のいずれの場合も受験を検討される場合、早めにコンタクトをとって下さい(博士後期編入については、年によって募集しない場合もあるのでご注意ください。)修士課程への入学を希望する方には、教育社会学(Sociology of Education)について一通り勉強し、知識を頭に入れ理解しておくことが最低限望まれます。

◆「教育社会学の基礎を効率よく学ぶのに適した文献は何ですか」とよく尋ねられ、いつも困ります。とりあえず以下の2点を読まなければ始まらないことだけは自信を持って言えます。どちらも名著で、比較的安く手に入ります。
・『オートポイエーシスとしての近代学校―その構造と作動パタン』(北村和夫、世織書房、2015年、2800円)
・『<ヤンチャな子ら>のエスノグラフィーーヤンキーの生活世界を描き出す』(知念渉、青弓社、2018年、2400円)
この2冊が読み上げられなかった方、またその気もない方は受験をあきらめて下さい。さて、この次にどこに進むかとなると、もう王道はないとしか言えません。敢えてリストを以下に掲げますが、これはあくまで「一例」であり、これさえ読めば基礎が身につくことを保障するものではありません。また他にも多数の優れた文献があることをお断りしておきます。
・『リーディングス日本の教育と社会 全20巻』(広田照幸監修、日本図書センター、2006-2010年)
・『グローバル化・社会変動と教育 全2巻』(ローダー他編、広田照幸他訳、東京大学出版会、2012年)
・『社会のなかの教育』(岩波講座 教育 変革への展望 第2巻)(岩波書店、2016年 ◆倉石も執筆)
・『教育社会学のフロンティア 全2巻』(岩波書店、2017-2018年 ◆倉石も1巻に執筆)
・『教育社会学事典』(丸善、2018年 ◆倉石も編集・執筆に携わる)
・『現場で使える教育社会学:教職のための「教育格差」入門』(中村高康・松岡亮二編、ミネルヴァ書房、2021年)
・『これからの教育社会学』(相澤真一・伊佐夏実・内田良・徳永智子、有斐閣、2023年)
研究分野 教育学・教育社会学
キーワード 教育社会学、包摂と排除、教育福祉、マイノリティと教育、米国学校改革史、社会問題の教育化
研究テーマ ●教育社会学は大きく言えば教育と社会とのつながり、社会のなかの教育のあり方を探求する学問である。日々メディアをにぎわせ、早急な対策を必要としているいわゆる「教育問題」の数々には一市民として大いに関心をもっている。しかし自分が研究者として関心をもったり惹きつけられている事象はいささかそれらとは異なる。近代学校制度はむろん私の研究にとって重要な関心ではあるが、私がひきつけられるのはその「原初状態」とも呼ぶべきものだ。就学義務が課せられている年齢の子どもが貧困やら家の事情でちゃんと学校に来ない、とか(日本の長欠不就学問題)、そもそも教室が一つしかなく教師も一人だけで授業日数もそろっていない学校(米国のワンルームスクール)とか、そういった類のものが私の考える原初状態である。こうしたことに思いを馳せたり、事実関係をほそぼそ調べることは物好きのきわみかもしれない。だが原初状態を見とどけることは、巨大化し官僚制化したいまの学校制度の姿が絶対的なものではなく、はかない虚構の上になりたつに過ぎないことを教えてくれる。こうした事柄にふれて、出口の見えない閉塞感に苦しむ者の気が少しだけでも軽くなってくれればうれしい。重苦しい語り口を避け、しかしその愚かしさを指摘する自分なりの方法を実践した成果物が『テクストと映像がひらく教育学』である。
●この10数年、学校現場で排除を受けたり周縁的位置に立たされている子どもの問題に福祉的視点から取り組む実践者の存在に関心を持ち、日本とアメリカ合衆国の事例研究にとりくんできた(『教育福祉の社会学』、『増補新版 包摂と排除の教育学』、『アメリカ教育福祉社会史序説』)。また修士課程以来、被差別部落や在日朝鮮人、米国の黒人といったマイノリティ問題に関心をもち関心をもち続けている(『差別と日常の経験社会学』、訳書『黒人ハイスクールの歴史社会学』)。今後のテーマとして、社会問題の教育化(Educationalization of social problems)現象の日本・ヨーロッパ・北米の比較を考えている。この視角は、訳書刊行(『教育依存社会アメリカ』)や日本へのシンポジウム招聘(2019年11月)でご縁のできたスタンフォード大学名誉教授のデイヴィッド・ラバリー先生に学んだ。ドイツ語圏のヨーロッパではさらに活発に研究が行われており、それらに学びながら、マックス・ウェーバーの世界宗教の比較社会学研究を準拠枠組みに教育への宗教社会学的接近を試みていきたい。
代表的著書,論文等 【著書】
『教育福祉の社会学:〈包摂と排除〉を超えるメタ理論』明石書店、2021年(単著)
『テクストと映像がひらく教育学』昭和堂、2019年(単著)
『増補新版 包摂と排除の教育学:マイノリティ研究から教育福祉社会史へ』生活書院、2018年(単著)
『アメリカ教育福祉社会史序説:ビジティング・ティーチャーとその時代』春風社、2014年(単著)
『包摂と排除の教育学:戦後日本社会とマイノリティへの視座』生活書院、2009年(単著)
『差別と日常の経験社会学:解読する〈私〉の研究誌』生活書院、2007年(単著)

岩下誠・三時眞貴子・倉石一郎・姉川雄大『問いからはじめる教育史』有斐閣、2020年
『新 世界の社会福祉 第6巻 アメリカ合衆国/カナダ』旬報社、2019年(分担執筆)
『教育社会学のフロンティア1 学問としての展開と課題』岩波書店、2017年(分担執筆)
『社会のなかの教育(岩波講座教育 変革への展望 第2巻)』岩波書店、2016年(分担執筆)
『教育支援と排除の比較社会史:「生存」をめぐる家族・労働・福祉』昭和堂、2016年(分担執筆)
『ライフストーリー研究に何ができるか:対話的構築主義の批判的継承』新曜社、2015年(分担執筆)
『教育における包摂と排除:もうひとつの若者論』明石書店、2012年(分担執筆)
【翻訳】
『教育依存社会アメリカ:学校改革の大義と現実』岩波書店、2018年(共訳)
『黒人ハイスクールの歴史社会学:アフリカ系アメリカ人の闘い1940-1980』昭和堂、2016年(共訳)
『アクティヴ・インタビュー:相互行為としての社会調査』せりか書房、2004年(共訳)
『多文化教育事典』明石書店、2002年(監訳・共訳)
【事典類】
『教育社会学事典』丸善、2018年(編集委員、分担執筆)
『在日コリアン辞典』明石書店、2010年(分担執筆)
『異文化間教育事典』明石書店、2022年(分担執筆)
所属学会,その他の研究活動等 日本教育社会学会(2021年より学会賞選考委員会副委員長)
日本教育学会(2022年6月より機関誌編集委員会委員)
日本社会学会
日本オーラル・ヒストリー学会
教育の境界研究会(運営委員)
短歌結社「心の花」会員
担当授業
  • 学部 人間形成論
    人間形成論演習
    基礎演習:教育・社会・国家
  • 大学院修士課程 人間形成論
    人間形成論演習
    共生人間学研究Ⅰ,Ⅱ
  • 大学院博士課程 共生人間学特別研究Ⅰ,Ⅱ
  • 全学共通科目 教育学Ⅰ
    教育学Ⅱ
    ILASセミナー:教育・社会・国家
    教育学基礎ゼミナール
経歴等 1992年3月 京都大学工学部衛生工学科卒業
1995年3月 京都大学大学院人間・環境学研究科(岡田敬司先生ゼミ)修士課程修了
1998年3月 京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程(岡田敬司先生ゼミ)研究指導認定退学
2000年7月 受 博士(人間・環境学)
2002年4月 東京外国語大学外国語学部助教授
2007年4月 同准教授
2009年4月 東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授
2013年10月 京都大学大学院人間・環境学研究科准教授
2017年4月 同教授、現在に至る

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    人間・環境学研究科パンフレット 新型コロナウイルスへの対応について
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